●男、30歳の節目●

「ついに30代か…」

ただのおっさんになるのはイヤだ。
カッコイイ大人になりたいと思っている。
中身はもちろんだけど、まずは形から入るのが早いだろうと、30歳になる記念として、機械式腕時計の購入を考え始めた。

正直、時計なんてケータイがあれば事足りるし、興味がなかったけど、まわりの同僚は、みんなブランドウオッチをしている。
その時計をきっかけに得意先や初対面のクライアントと話が弾むこともあるらしい。
いい時計をしていれば、営業マンとしてハクがつくのではとも思った。

一応、下見だけでもしておこうと、オレは単身、宝飾店へ足を運んだ。

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