堀を埋め尽くす花は 清楚な夏の香り
高田公園で、春の桜と並び多くの人を魅了するのが、16ヘクタールに及ぶ堀に植えられた夏のハス。現在では「東洋一」の呼び声も高い花蓮の名所となっている。水面から力強く広がる大きな浮き葉と、すっきりと伸びた茎に紅白の色の花弁をつけた様は非常に神秘的。もとはスイレン科と考えられていたが、現在ではハス科に分類される。観賞用の花は食用のレンコンと区別するため花蓮と呼ばれる。また、「蓮華」という言葉があるように仏教と深いつながりを持つ。仏像の台座のひとつ、蓮華座は、ハスの花をかたどったものだ。高田公園にハスが植えられたのは明治4年。当時、戊辰戦争や凶作などによって貧窮した高田藩の財政を救うため、大地主・保阪貞吉がハスを植え、レンコンを育てたのが始まり。以来、幾度も絶滅の危機にあいながら、昭和37年までレンコン狩りが続けられたという。ハスの花は早朝に開花し、昼過ぎには閉じてしまうので、早起きをして朝露に濡れた様子を観賞したい。葉の上に転がる水玉にも、生命を感じて面白いものだ。