白い花は新そばの申し子 素朴な姿に心も和む
小千谷市の名物のひとつ、「へぎそば」は、上質のそば粉とつなぎに磯の香りのする布海苔を使った、コシが強く、ほんのり緑色がかった見た目も美しいそば。江戸時代、小千谷の伝統ある織物作りに海苔が使われていたことから、いつからかそば造りにも用いられるようになったという面白い経緯を持つ。そんなそば処である小千谷市では、ソバの栽培も盛んで、町のあちらこちらでソバが群生する畑を見ることが出来る。かつて稲作が行なわれていた休耕田を利用する所も多く、広大な圃場に整然と植えられている様は清々しい。夏の間は目にも鮮やかな緑に染まっていたソバ畑が、9月になると少しずつ小さく可愛らしい白い花をつけはじめ、やがて一面が真っ白になる。鮮やかな色彩は持たず、奥ゆかしく素朴であるだけに心も和み、落ち着ける景観となる。香り高い新そばの季節を迎える前のもうひとつのお楽しみとして、ソバの花を愛でるために小千谷へ訪れてみるのもいいのではないだろうか。