トマト嫌いだからこそできる 声≠生かした商品作り
50年以上続くトマト農家の3代目・曽我新一さんは、独自農法により3種の「高濃度トマト」を開発、ブランド化に成功。優れた生産者として全国から注目を集めているが、なんと大のトマト嫌い。家業を継ぐことを拒んだ末に海外へ逃亡するなど、その経歴は異彩を放っている。一見マイナスとも取れる、トマト嫌い≠ニいう個性や海外生活だが、それによって得られた柔軟な価値観は、現在に生きている。「従来のやり方では農家の未来は明るくない。家業をベースにビジネスの幅を広げようと考えた時に思い付いたのが専門店でした。市場に出回っていないものを作れば、小規模でも勝負できると思ったんです」。幸い、すでに直売所は機能していたので、すぐに商品の拡充に着手した。商品開発に関しても専門性の高さが鍵だと考えた曽我さんがまず行ったのは、消費者の声≠聞くこと。すなわちマーケティングリサーチだ。直売所に訪れる客のリアルな感想や意見を、そのまま商品作りに反映したのだ。「例えば3種あるジュースは、年配の人や妊婦さん、スポーツマンなどいろいろな人のニーズがヒントになってます。僕はトマトを食べられないからこそ、人の声を素直に受け入れられるのかもしれないね」と、ニッコリ。