地域のすみずみまで毎日配達。山間地の生命線として63年
川口支所のお隣に店舗と本社を構える安田屋。いまや地域のランドマーク的存在となっている
瑞江さん ちょうどさっき、健也が配達から帰ってきたんですよ。彼と野菜担当のスタッフが半分ずつ受け持ってるんですが、今日はそのスタッフがお休みなので、ぜんぶ一人で回ってきてもらいました。地域の保育園の給食と、小中学校の給食と……。
健也さん サービスエリアとラーメン屋さんですね。あぐり(川口の道の駅「あぐりの里」)もコースに入っています。
瑞江さん それ以外にも、配食サービスという、地域のお年寄りにお弁当を作って持っていくサービスがありますね。そっちは彼だけでは手が回らないので、私が行って。あとは個人のお客さん向けの配達もあるんですよ。午前中は時間がないので、それはまたこのあと、午後3時過ぎから行きます。
配達帰りの山森健也さん(左)、専務の山森瑞江さん(右)
そんなに配達に行かれてるんですか!完全に地域の生命線になっているんですね。どれくらい長く、この川口にお店を構えてらっしゃるんですか?
瑞江さん 創業して63年になります。長らく私の母が社長だったんですが、その前は母の父、つまり私の祖父が小売と卸の会社として商売を始めたんですね。でも、祖父は早くに亡くなってしまって。母は12人きょうだいの12番目なんですが、はじめに店を継いだ長兄の夫婦が経営に向いていない人で会社を潰してしまい、みんなバラバラになってしまったんです。最後に残ったのが末っ子である母と、年老いた祖母。このふたりが潰れた店に住み始めて、「せっかくお父さんが作った店なんだから」と21歳の母が継いだのが、今につながる始まりです。ゼロ……というよりマイナスから、車の免許を取って、市場に仕入れに行って、苦労しながら作ってきた店ですね。いま89歳ですが、「自分から仕事を取り上げないでくれ」と言って、午前中にやってきてパソコンを打ってますよ。苦労したぶん仕事には厳しい人ですが、すごいバイタリティだと思います。
瑞江さんも、その背中を見てお店に入ったんですか。
瑞江さん ぜんぜん(笑)。私は4人きょうだいですが、一番お店が嫌だったと思います。「なんでこんなに朝から晩まで働かなきゃならないんだ」と思っていたし、


