「救助者自身の命も守るのがレスキュー」頭脳と技術を使う最先端の訓練
雪を待つ長岡市営スキー場に、今年も全国の消防士たちが大集合。東山連邦の麓にある、見晴らしのよい駐車場で、訓練が始まっていました。そこかしこに見える、追突されて側部がへこんだ車、横転した車。そのセットは本物の事故現場さながら。時折、バリバリ!ドカッ!ガガガー!と大きな音が聞こえて、気が引き締まります。
実技訓練のメイン会場。シーズンがまだ始まっていない長岡市営スキー場の駐車場を活用しています。
参加者は朝一番に座学で理論を学んだら、そのあと実技訓練へと移ります。この日は8グループに分かれて、グループごとに4つのステーション(模擬的な事故現場のセット)を巡回。各グループは、日本中の消防士で混成されていました。
「車の破片が飛んでくるかもしれないから、これをどうぞ」と保護メガネを手渡してくれたのは、インストラクターのブラッシュ・コバッチさん。ドイツ、オーストリアに拠点を置く救助機器メーカー、ウェーバー社が認めた、公認インストラクターです。レスキューデイズを主催する船山株式会社は、自社で防災ツールを製作するメーカーであると同時に、国内外の防災・救助機器を扱う商社でもあります。レスキューデイズでは、自社で取り扱うウェーバー社の油圧レスキューツールを使用。業界の最前線をゆく高性能のツールを用い、その使い方を熟知したプロを招いて、直接教わる。そんな特別な体験ができるのが、レスキューデイズの醍醐味なのです。
コバッチさんは、スロベニア出身。スロベニアでは、ウェーバー社のレスキューツールが広く使われているそうです。
「まず事故現場に着いたら何をする?」「この車の重心はどこ?」コバッチさんが消防士に向かって質問を投げかけ、対話しながら訓練は進んでいきます。まずは、車のなかに要救助者がいると想定して、事故で開かなくなった車のドアを開けていく訓練。バックドアガラスを割ったら、バックドアを電動油圧式のスプレッダーでこじ開けます。バキバキ、メシメシと音を立てながら、徐々に車が破壊されていきます。「機械が動いている間は、人間はできるだけ身体を休めるように」とコバッチさん。救助ツールは年々進化しており、片手で操作できるものや、ボタンひとつで繊細な動きやスピードがコントロールできるものもあ