コミュニティをつなぎ直し、「信頼ベース」の地域を再びつくる。小さな町内会の大きな挑戦
分断されてしまった地域を「楽しさ」でつなぐ
ミーティングは下々条公民館の二階大広間で行われた
納涼祭、すごい盛り上がりですね。下々条町内会のこうした活気は大竹さんが会長になって5年ほどでかなり形作られてきたということですが、そもそもそれ以前はどういう地域だったんでしょう。
大竹祐介さん(以下、大竹) 私はもともとこの地域の生まれ育ちで、小学校や中学校には往復一時間ほどかけて通っていました。当時は農家さんばかりだったので、田んぼに囲まれた道を歩いて登下校し、そこらの家の柿の木をもいで食べて怒られたり、野原で火遊びをして怒られたり……していました(笑)。まあ、どこにでもいる悪ガキでしたが、ちゃんと怒られたというのは、地域の人たちが子どもたちを見守ってくれていたということなんですね。怒るほうも怒られるほうも、相手が誰だかわかっていた。それだけ、地域住民の距離が近い町内だったんだなと思います。
そのうち、近隣の企業勤めの方たちが主に住むような新しい住宅街ができて、まちに大別して二つの文化圏が混在するようになったんですね。
大竹 はい。私自身も一時長岡から出て暮らし、戻ってから家を構えたので、その新興住宅街の住人になりました。そこで初めて、地域が完全に分裂していることに気づいたんです。古くからの住民と新しい住民の交流は皆無だし、町内会の運営に関しても、当然、新しい住民の意見は通らない。だから、一時期は新しい住民だけで「町内会を脱退しよう」という話まであって……あ、苦笑してる人もいますね(笑)。私は古い地域のことも知っていますし、「これではいけないな」と思って。新しい地域のほうから古い地域に入っていく、その仲立ちをしようと思って町内会長になったんです。
とはいえ、世代や生活スタイルも違えば、大事にしているものも違う人たちが「はい、交流しましょう」と言っても、いきなりは難しいですよね。そのあたりはどのように?
大竹 自分の子ども時代を思い返すと、地域のお祭や行事がとても楽しかったんです。しかし、今やその担い手もいなくなり、子どもも大人も楽しく集う場がない。だったら、もう一