本が「居場所をつくる」ってどういうこと? 本好きが集った「本と居場所 ほんとの居場所」イベントレポート
「場を開き、街を耕す」20歳で描いた「栞日」構想
長野県松本市の駅前大通りにある書店兼喫茶「栞日」は2013年の夏、静岡県出身の菊地さんが26歳のときに開いた店が始まりです。
大学卒業後、カフェとは別のサービス業を学びたいと2010年、松本市郊外の温泉旅館に就職。その職場で人生の伴侶となる女性と出会い、今度は小規模店舗の経営感覚を身につけようと、松本から約70キロ離れた軽井沢町のベーカリーに転職。住まいも軽井沢に移して約1年間勤めた後、「ここで暮らし続けたい」と直感した松本に戻り、栞日を開業しました。
その後も、松本の隣接市のキャンプ場を舞台にしたブックフェス「ALPS BOOK CAMP」を主催したり、松本の街場に暮らすように泊まる中長期滞在型の宿「栞日INN」を立ち上げたりと、人が行き交い、集う「場」をさまざまな形でつくってきました。
長野県松本市で書店と銭湯を経営する菊地徹さん。まちの未来を共に考える仲間たちに推され、政治の世界へ。2023年から松本市議会議員を務めている。
店で扱う書籍の中心は、個人や少人数のグループが高い熱量で制作する、いわゆる独立系の出版物。大手のチェーン書店では目にする機会の少ないものですが、「こういう本が伝えるものこそ松本の皆さんに知ってほしいと思ったし、僕も松本に暮らす一市民として、こういう本と日常的に触れられる環境を街場にインストールしたいと思ったんです」と菊地さんは開業当時を振り返ります。
栞日で扱う本は、ZINE(ジン)・リトルプレスとも呼ばれる独立系出版物が中心。関連の企画展やトークイベントなども開かれ、店はまちなかの文化拠点となっている。(画像提供:菊地さん)
2016年には手狭になった店舗を、現在地に移転。もともとは家電販売店だった建物の外観は地域の記憶として残したまま、書店兼喫茶という全く異なる業態に活かしました。
かつての風景を刷新するのではなく、そのまま生かした現在の「栞日」の外観。(画像提供:菊地さん)
「菊地さんだったら何をやったらいいと思う?」店の向かいで営業する「菊の湯」のオーナーから話があったの


