※本記事には一部に、牛と豚の解体した肉塊の写真が出てきます。苦手な方はお気をつけください。
お役所仕事から長期的思考へ。前倒しで踏み切った民営化の舞台裏
「昔はね、各市町村、例えば近隣の小千谷や堀之内、柏崎や三条だとか、そういうところがみんなそれぞれ食肉センターを持っていたんだよ。だけど、時代の動きについていけなくて、どんどん畜産農家がやめていってね。今はセンターも新潟県内に長岡、新潟、新発田の3か所しか残っていないんです」
そう語る林さん、通称「又さん」は、かつて長岡市の職員として畜産行政に深く関わってきた、言わば「元・お役人」の経歴を持つ人物です。
かつては長岡市も「市営」としてセンターを運営していましたが、時代の変化とともに経営の岐路に立たされました。長岡に限らず、多くの食肉センターが建設から40年余経っており、老朽化が進むなかで公費だけで維持することが難しくなることが予見でき、国内の畜産業は高齢化や飼料の高騰などさまざまな要因で農家数が減り、稼働率の低下もネックでした。2000年頃、当時の行政管理官が「食肉センターを市の職員がやっていくやり方はやめる」という方向性を決めた際、食肉センターの職員だった又さんも「時代が時代だから、いつまでも市営でやっている必要はないでしょう」と応じ、民間への移行を進めることになりました。
5年間の指定管理期間を経て、本来の計画よりも1年前倒しで完全民営化へと踏み切った長岡食肉センター。そこには、役所運営のベースとなる単年度決算の考え方では、本当の意味でのコスト計算や企業的な経営は絶対にできないという、又さんの確固たる経営視点がありました。
「役所の決算っていうのは簡単でいいんだけど、大きな修繕に5000万円かかったら、補助金などを差し引いた残りの4000万円は持ち出しになり、その年は一言『赤字です』と言われて終わってしまう。だけど民間の場合だったら、それを耐用年数で割り返して、1年あたりのコストを弾くのが当然でしょう。そういう考え方でお金を動かさないと、本当の経営判断はできないんですよ」
これまで慣れ親しんだ役所的な支出の考え方を改めてコスト計算を徹底した結果、指定管理の初年度には約5000万円の利益を弾き出しました。しかし、もともと市営だった土地や設備を民営化したことで


