2025.10.30

創業一年、最新型の「地元の酒」。静かに尖った酒造りに挑む葵酒造のめざすもの

2025年、長岡市に新しい酒蔵が誕生した。「葵酒造」という名のその蔵が数か月の間に複数リリースしたのは、これまでの新潟・長岡の酒とは少々趣の違う日本酒。「Maison Aoi(メゾンアオイ)」と名付けられ、ナンバーごとに使用する米も味わいも、すべてが異なる。ロットも少なく、希少性も高い。「この蔵の、この銘柄はこの味」という日本酒のセオリーからは逸脱したこの酒を醸すのは、実は長岡の地で160年続いた「高橋酒造」の蔵。その高橋酒造を事業承継し、新たな名のもと新たな命を吹き込んでいるのが、代表取締役の青木里沙さんだ。畑違いの業界から事業承継を機に長岡にやって来てわずか一年、あっという間に長岡の風景に溶け込んでいる青木さんに、すべてが異質でありながら早々と長岡の酒飲みに受け入れられている葵酒造の不思議な佇まいの謎を伺った。


船出の瞬間にボイラー故障!初の酒造りはすべてが予測不能


川沿いに立つ、高橋酒造の代表銘柄「長陵」の名を冠した煙突。1922(大正11)年建造以来、長く地元の風景として親しまれたこの煙突の下で、新しい時代の酒が生まれている

事業承継してまだ一年。ですが、傍から見ていて葵酒造への注目度を非常に強く感じる一年でした。現在の状況は、始める前から予期していたものなんでしょうか?


青木さん いや、むしろここまで「よくお酒が出せたな」というくらいバタバタだったんですよ。昨年の9月に蔵を引き継いで、私がこっちに来たのが11月。フルタイムの社員は4人いますが、みんなそれ以降、今年の1月までに長岡の外から移り住んできました。そこで、みんなで「よーい、どん」みたいな感じでお酒を造ろうとしたところ、いきなりボイラーが壊れまして(笑)。もともとあった設備をつかってできるだけお酒の品質を向上させるためにすごく小さな規模の仕込みに切り替えたのですが、その後もあちこちで機材の調子がおかしくなるので、大変でした。そもそもこの蔵は十数年ほとんど設備投資をしていなかったので、壊れてもおかしくないとは思っていたんですが。ボイラーは酒造りが始まる前に壊れたので、まだよかったです。途中で壊れていたら悲惨でした。


いきなり生命線が危うくなったわけですね。


青木 そのボイラーを数百万円かけて入れ替えるところからスタートでしたからね。あとは、酒米の調達も大変で

引用元
な!ナガオカ
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