新潟市出身・内山拓也監督最新作『しびれ』の国内最速試写会&舞台挨拶に行ってきました
『佐々木、イン、マイマイン』(2020年)で数々の映画賞新人賞を獲得し、続く『若き見知らぬ者たち』(2024年)においても、現実にもがきながら何かを掴もうとする若者たちの姿を鮮烈に描いてきた、新潟市出身の内山拓也監督。
そんな内山監督が、故郷・新潟の冬景色を舞台に、自身の記憶や感情を重ね合わせながら描いた最新作『しびれ』。居場所やアイデンティティを模索する少年の姿を映し出した、自伝的要素を色濃く帯びた渾身の一作です。
9月25日(金)の全国公開に先駆け、16日、新潟市内で国内最速となる先行試写会が実施されました。上映後には内山拓也監督による舞台挨拶が行われたほか、後半にはプロモーションを担当するFlag Niigata代表・後藤寛勝さんも登壇し、新プロジェクトが発表されました。
あらすじ
日本海沿いの町に暮らす少年・大地は、幼少期に暴君のようだった父の影響から言葉を失う。夜の仕事で生計を立てざるを得ない母・亜樹はほとんど家に帰らず、やがて大地は父の行方を求めて生家を訪ねることを決意。これを境に、彼の運命は大きく揺らいでいく―――。心のよるべなき貧困、誰にも見つからぬように生きる孤独の中のささやかな救い、母への複雑な感情。流されるままに生きているようで、歩みを止めない大地。そんな彼がかすかな光を手繰り寄せ、息をのむような大きな愛を知るまでの20年間が、少年の姿を追い続け、リアリズムに根ざした視点で綴られていく。
内山監督の強い願いで実現した新潟での国内最速上映
今年2月に開催されたベルリン国際映画祭では、内山拓也監督と主演の北村匠海さんが登壇しました。会場では国境を越えて多くの観客が「新潟」という言葉を口にし、大きな反響を呼んだといいます。
内山監督は、「新潟の鉛色の空って、県民にとってはあまりにも当たり前の景色なんです。でも今回、海外の方を含め『どうしたらあんな空が撮れるの?』という声をたくさんいただきました。日本海や萬代橋、信濃川も、ロケハンを通して改めて向き合うことで、その魅力を再認識しました。新潟の風景や空気感を深く刻み込んだ作品だからこそ、国内最速上映を新潟で実施できたことにも特別な意味を感じています」と語ります。
また、本作については、「自伝的な要素はありますが、単なる実体験の再現ではなく、映画として再構築・再解釈していきました。どこまでが事実で、どこからがフィクションかを切り分けられるような単純なものではなく、すべてのシーンに自分が知っている感情や景色を織り込んでいます。その記憶や感覚を土台にしながら、映画として立ち上げていきました」と続けました。
主人公・大地の約20年にわたる歩みを、新潟の時代背景を丁寧に反映しながら描き上げた本作。県民にはなじみ深い柿の種の箱やイタリアンの容器なども登場し、さらにほとんど全ての衣装は、スタイリストが実際に新潟県内各地を巡って集めたものだそうです。
撮影中には、監督のことを知らない方が自宅の庭を見せてくれたり、「新潟出身なんだね、おかえり」と温かく迎えてくれたりと、忘れられない出会いや出来事が数多くあったと話す内山監督。現場は終始穏やかな空気に包まれ、その優しさに触れたスタッフが涙を流しながら帰路につく場面もあったと振り返ります。
舞台挨拶ではそのほかにも、撮影期間中の北村匠海さんや宮沢りえさんとの印象深いやり取り、そしてフィルム撮影ならではの表現へのこだわりについても語られました。
単なるコンテンツでなく、映画を“体験”にしたい
20歳前後で一度新潟を離れた、同世代の内山拓也監督とFlag Niigata代表・後藤寛勝さん。対話から浮かび上がってきたのは、映画を単なるコンテンツとして消費するのではなく、新潟という土地や人、記憶、未来へとつながる“体験”として育てていこうとする姿勢でした。
後藤さんは、「新潟に誇りや憧れを持てることが重要で、その価値観を自分たちの世代で形にできる気がしています」と語ります。そうした思いは、二人で言葉を交わす中で、少しずつ輪郭を帯びていったものだったといいます。
「新潟から世界へ」を掲げながら、一時的な盛り上がりを生むだけではなく、地域に根づく価値をどう育み、次の世代へつないでいくか。二人が見据えているのは、そんな長い時間軸での地域との向き合い方でした。
内山監督は、「今回の映画制作を通じて、自分のルーツはやっぱり新潟なのだと改めて実感しました」と振り返ります。「映画という表現で故郷を見つめ直しながら、これからも作品や自身の活動を通して、新潟の魅力を発信し続けていきたい」と語り、締めくくりました。
世界から注目を集める内山拓也監督の最新作『しびれ』は、9月25日(金)より全国公開。新潟出身の監督が世界の舞台で活躍していることに、改めて誇らしさを感じる作品です。最新情報や詳細は、以下の公式サイトよりぜひチェックしてみてください。
『しびれ』
2026年9月25日(金)より、ユナイテッド・シネマ新潟ほか全国公開
配給:NAKACHIKA
(c)2025「しびれ」製作委員会
監督・原案・脚本:内山拓也
出演:北村匠海、宮沢りえ、榎本 司、加藤庵次、穐本陽月、赤間麻里子、永瀬正敏
企画・制作:カラーバード
製作幹事・制作プロダクション:RIKIプロジェクト

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