【お米って、愛だろ?】人気料理家に聞く、お米を愛する、その理由。vol.2 しらいのりこさん
お米は毎日の食卓に欠かせないもの。けれど、そのおいしさや魅力を改めて考える機会は意外と多くありません。そこで今回は、お米を知り尽くした2人の人気料理家にインタビュー。ごはんへの愛が深まるエピソードをご紹介します。
お米料理研究家
しらい のりこさん
新潟市南区出身。炊飯系フードユニット「ごはん同盟」として、ごはんに合うおかずの提案や炊飯教室を通じ、ごはんをおいしく炊ける人、食べる人を増やすべく活動。
新潟を離れて気づいた、当たり前すぎたお米の豊かさ
炊きたてのごはんを口にすると、「やっぱりおいしい」と頬が緩む。その喜びを多くの人に味わってほしいと、お米料理研究家のしらいのりこさんは、編集者の夫・シライジュンイチさんと「ごはん同盟」として、おいしいごはんを炊ける人、食べる人を増やす活動を続けています。
新潟市南区出身のしらいさんは、鮮魚店と仕出し業を営む実家のもと、料理人の多い環境で育ちました。料理の仕事の大変さを身近に感じ、当初は別の道を考えていましたが、ウェブデザイナーとして働くうちに料理を仕事にしたいという思いが強くなり上京。発信の軸として目を向けたのが、お米でした。
ジュンイチさんの実家は長岡市の米農家。家業を継がず上京したジュンイチさんには、家族が育てるコシヒカリを広めたいという思いがあり、夫婦で「ごはん同盟」を始めました。さまざまな品種との出会いや食べ比べ、炊飯イベントを重ねるうち、活動は日本中のお米を応援するものへ。
「地元にいるときは、おいしいお米があることが当たり前すぎたんです。新潟を離れてから、お米のおいしさに気づきました」
毎年田植えを手伝うしらいさんが心に留めるのは、田んぼを気にかけ、農機具を丁寧に扱う義父の姿。「こどもを見るように、お米を気にかけています。『自分のお米が一番おいしい』と胸を張る姿に、米作りはなんて豊かな仕事なのだろうと思います」
おいしく炊ける人を増やし、ごはんのある食卓を次世代へ
全国を訪ねるなかで、生産者の減少だけでなく、地域に伝わるお寿司や炊き込みごはん、郷土料理など、受け継がれてきた食文化が途切れてしまいそうな現実にも触れてきたというしらいさん。不安をあおるのではなく、自分にできることを続けたい。しらいさんが選んだのは、おいしいごはんを炊ける人、食べる人を増やすことでした。
「米農家を増やすことは私には難しいですが、おいしい料理のレシピやごはんを食べる場面を提案して、食べる人を増やすことはできるかもしれない。食べる人が増えれば、お米を育てる人たちの励みややりがいにも繋がると思うんです」
10年以上続けてきた炊飯教室では、参加者の反応を見ながら伝え方を工夫してきたのだそう。お米を買うときは精米時期を確認し、一カ月ほどで食べきる。割れないよう手早く研ぎ、残ったごはんはすぐ冷凍する。そんな小さな心がけが、ごはんのある暮らしを豊かにします。
今、特に伝えているのは、冷たい水で炊くこと。キンキンに冷えた水で炊くとお米の甘みが引き出され、ぐっとおいしくなると教えてくれました。
秋には義父から届く新米を楽しみにしているしらいさん。「毎年、新米を食べると『おいしいね!』って、まるで初めて食べたように感動するんです。こんな食べ物って、なかなかないですよね。ごはんがおいしくなるだけで、暮らしの豊かさは大きく変わると思います」
一方、お米の価格が上がったときには、生産者と消費者、流通に関わる人、それぞれの事情が見えにくくなり、複雑な思いを抱える人たちを目の当たりに…。
「米農家の苦労もわかるし、消費者が苦しいのも理解できる。主食として欠かせないお米をめぐって、みんなが対立してしまうのは避けたいと思いました」
だからこそ伝えたいのは、先の不安に身構えたり、誰かを責めたりすることではなく、お米の価値を改めて見つめ直すこと。しらいさんは、お米を親のような存在に例えます。
「いつもそばにあって温かく見守ってくれるけれど、身近だからこそ、そのありがたさを忘れてしまう。ときには、その一膳のごはんができるまでの風景を思い浮かべながら、大切に食べてもらいたいですね」
炊きたての香りに心をほどき、つややかな一粒を噛み締め、その甘みを味わう。まずは、目の前のごはんをおいしく味わう。そこから、お米を育てる人や、その土地で受け継がれてきた食文化へと思いをめぐらせることができます。
一膳の積み重ねが、ごはんのある風景を未来へ残していく。日々の食卓から、お米の豊かさが次の世代へ手渡されていくことが、しらいさんの願いです。
炊きたてごはんをもっとおいしく味わう!とっておきのおかずレシピ
鮭の焼漬
言わずと知れた新潟県の郷土料理。でも、実は県民でも手作りする人は意外と少ない。
《材料(作りやすい分量)》
・生鮭…4切れ
【つけだれ】
・しょうゆ…大さじ4
・酒、みりん…各大さじ2
・中ざら糖(または砂糖)…大さじ2
�@鍋に酒とみりんを入れて中火にかけ、約1分加熱してアルコールを飛ばす。中ざら糖(または砂糖)としょうゆを加えて混ぜ、砂糖が溶けたら火を止め、そのまま冷ます。
�A鮭は食べやすい大きさに切り、グリルで焼く。焼きたての熱いうちにつけだれに漬け、1時間〜半日ほど味をなじませる。保存の目安は冷蔵で約1週間。
一生推したい!私の殿堂入りごはんのおとも
お手製のりオイルふりかけ
ボウルにオリーブ油を入れ、ちぎった焼きのり、しらす、塩、ニンニクすりおろしを入れてよく混ぜるだけ。材料を混ぜるだけの手軽さながら、のりの香ばしさとしらすのうま味が後を引く、忙しい日にも頼れる一品。

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