地球ゴージャスインタビュー

新潟では地球ゴージャスの舞台が上演されるのは、9作目の「ささやき色のあの日たち」以来、3年ぶり。
同作に出演しなかった寺脇康文は、地球ゴージャスの一員として、7作目の「クラウディア」以来、実に6年ぶりに新潟に登場する。

寺脇 「ゴージャス以外の芝居で2年前に一度来ていますけど、ゴージャスとして久しぶりに新潟でやれることをうれしく思っています。前回(「ささやき色のあの日たち」)は、自分の仕事の都合で出られなかったんだけど、自分の出ていない地球ゴージャスの作品を劇場で最初見たときは、不思議な感じがしましたね。正直、俺いなくていいのかなって(笑)。でも、僕がいない分、普段の公演とは違ったファンタジックな作品になっている。ゴージャスなんだけど、ゴージャスではない芝居を見ている気がして、変な感じでした。同時に、俺はあそこにいるべきだなって思いましたね」
岸谷 「作品のほとんどの時間を、北村一輝と掛け合う1対1の作品じゃないですか。だから、周りのスタッフや仲間から『何でこの作品を寺脇康文のいる時に作らなかったの?』ってよく言われるんです。僕も、答えに詰まってしまうんですけど…。でも、不思議とそうじゃないんですよね。“ささやき色”の長い年月を見ることができるちょっとキュンとくる作品。僕も脚本家として自分でもすごい好きな作品なんです。でも、寺脇がいるときは前作「星の大地に降る涙」みたいな、地球ゴージャスの王道であるダイナミックな舞台になる。今回の作品も人数が少ないのに、僕と寺脇康文とがっつり掛け合うシーンがないんです。寺脇とは、絶妙な絡み方をしているので、作品的には非常にバランスのいいものになると思っていますけど…。俺の中で、寺脇康文と(がっつり)やる時は、2人芝居を作る時なんじゃないかなって思っていますね」

岸谷五朗が寺脇康文と出会って、26年。地球ゴージャスを結成して16年目を迎える。常に新たなエンターテインメントを世に送り出し、作品は10作を数える。その成功は、お互いに“相棒”に対する絶大な信頼から生まれているようだ。

岸谷 「俺は、寺脇康文とやれば何でもうまくいくなって思っているんです(笑)。寺脇康文と一緒にやれば、全然(先の)見えない非常に大きなものがあるとしても成功するなって思えるんです。『今度、こういう劇場でこういうことやろうぜ』って思えるのは、無意識に『俺一人ではできないかもしれないけど、寺脇がいるからできるだろう』って考えているんでしょうね。具体的に何っていう訳じゃないんですけど、そういう信頼度というか、安心度というか、自分でも不思議なんですけどね(笑)。だから、俺が勝手に進めて、勝手にいろいろなものを作り出そうと動き出すんですね。できたらちょっと見てもらって、OKなら進めるんです。そんな感じですね。」
寺脇 「じゃなきゃ、25年も一緒にいないですから(笑)。2人で一緒にやることが必然というか、当たり前というか。言葉はちょっと違うかもしれないんですけど、俳優としてほかの芝居に客演に行くとか、1人でやったりすることはあると思うんですけど、思いの詰まった芝居を作るのはこの2人だと思っているので。(自分が)五朗ちゃんの心のよりどころになれればいいと思います。僕は物事を楽天的に考えるので、五朗が悩んでいる姿を見て、『あ~いいんじゃない』『大丈夫だよ~』とか『明日にしようよ』とか言ったりして。でもそういうことで、気が抜けてくれたりする。『合っている』といってしまえばそれだけなんですけどね。僕も五朗とやっていれば間違いないって思ってます」

2人の厚い信頼と友情から生まれたユニット・地球ゴージャス。最後に2人は、今後も新しいエンターテインメントをどんどん作り、新潟に届けてくれることを約束してくれた。

岸谷 「今回ゴージャスとしては3年ぶりですけど、その前も何年か空いてしまったりで、新潟には毎公演来れてないんですよ。新潟って演劇に興味を持ってくれる人たちが多いと思うので、の演劇人口をもっと増やしていきたいんです。だからたくさんの人たちに見てもらって、ももっと長い期間公演をしたいし、演劇行くなら新潟だって言われたい。そのために、お客様を裏切らない新作をきちっと作ることが大切だと思っています」
寺脇 「一番やっちゃいけないことって、うまくいったことをなぞることだと思うんです。それやっていたら進歩はないし、飽きられる。お客さんが思う範囲内でいくらいい芝居をしてもしょうがない。『こんな感じでしょ、ゴージャスは』って思われたら、小さくなっていると思うので、自分たちの可能性を決めつけずいろいろなことに挑戦していきたい。“今までの地球ゴージャスに挑戦”という感じでやっていきたい。そして、全都道府県巡りたいんですよ。でも、それはなかなか難しい。繭が殻を破れるか、次(のステップ)に進めるか、(今作は)そんな作品ですね。皆さんの見るエネルギーで、僕らに力を貸してほしいと思います」