インタビュー

三田佳子、「印獣」を語る

印獣特設サイトインタビュー企画第3弾は、今作の鍵を握る大女優・三田佳子。
印獣の印象から、作・演出・出演者のことまで、じっくり語ってくれた。

私を中心にした物語を書き下ろしてくださるなんて、
宝の山にもぐりこんじゃったみたいな気持ち

―――今回の「印獣」のお話をいただいた時、率直にどんな気持ちでした?

三田 「やったーって思いました(笑)。パルコ(劇場公演)も初めてで、宮藤さんの作品。しかも、(ねずみの)三銃士の生瀬さんたちと一緒に、私を中心に(した物語を)書き下ろしてくださるなんて、宝の山にもぐりこんじゃったみたいな気持ちですね」。

―――怖くなかったですか?

三田 「よく考えたらね、怖いってもんじゃないですね。行っちゃいけないところへ踏み込んでいっちゃったぐらい、私にとって向こう側だったんだけど(笑)。でも、幸か不幸か私は(そういうことを)後から考えちゃうの。だから、踏み込んじゃってから考えたって遅いから、みんなに手を引いてもらって。おみこしに乗せてもらって、う~んと楽しもうと、それ以外にないって今覚悟決めてますね」。

―――(印獣の前作)「鈍獣」はご覧になったんですか?

三田 「もちろん。まず本を読んだんだけど十分怖かったから、もういいと思って舞台は観たくなかったの。でもこの間ビデオができてたのでそれをついに観ちゃったの。いや~おもしろくてすごくて! 観るんじゃなかったっていうのがその後の感想ですけどね。まぁそれにも勝るにも劣らない作品にね、今度は私が出るんだなーって思って。ちょっと…。なんかのんびりしてられないですよねぇー。すごい大変(笑)」。  

―――宮藤さんの印象は?

 
三田 最初に、みなさんとお会いできる機会をセッティングしてもらったんです。まず会っていただいて、(私を)知っていただいていただかないと思って。もちろん(役を)イメージして、声をかけていただいたと思うんですけど、今の私を知ってもらわないと。がっかり度も含めてね(笑)。その時、宮藤さんはすごくお疲れになっていたんです。それでも(その会に)出てきてくださったということは、これはもう(作品に対する)気持ちだなぁと思いましたね。その後の居眠り…っていったって長い時間の間に、うとうとってなってただけなんですけど、その姿は本当にお疲れだったんだろうなぁと思って、とってもかわいかったです(笑)」。  

―――宮藤さんは何かおっしゃってましたか?

 
三田 「ええ。『三田さんには、例えば9歳くらいになっていただくことがあるかもしれません』っておっしゃったの。それですべて分かりますよね。どんなに怖いところか(笑)」。  

―――ほかにねずみの三銃士のメンバーにもお会いになってますよね。

 
三田 「もちろん。(その会のときに)みなさんとお会いしました。あのときは、本当に上がっちゃって、しどろもどろになりました。宮藤さん、生瀬さん、池田さん、古田さんに囲まれて。こんないい男に囲まれて私いいのかなーって思ったら緊張しちゃって(笑)。何を言ったか覚えていないんです。けど相当ベラベラしゃべったみたい。『どうして女優になったんですか?』とか。女優がテーマですからみんなも聞きたかったみたいですね。でも、『あのころはこうだったのよ、あーだったのよ。あの時代はこーなのよ、あーなのよ』って言ったらみんなおもしろがっちゃって。私は気恥ずかしくてね、小出しにしゃべってたんですけど、みんなものすごくおもしろい話だって言ってくれて。そんなのも(作品の)参考になっているのかもしれないですね」。  

―――古田さんと生瀬さんと池田さんの印象を1つずつ教えて下さい。

 
三田 「私は、ある種のあこがれ持っていたけど、みんな怖い人たちと思っていたんです。でも、かわいいの。みんなかわいいの、素顔は(笑)。だから、そのギャップがいいなぁーと思いました。こんなギャップがあったんだって」。  

―――この三銃士を翻弄(ほんろう)する役ですよね。その秘けつを伺えますか?

 
三田 「翻弄(ほんろう)は私がされるんじゃないかと思うんですけどね。でもまぁ、怖い者知らずの彼らよりはちょっと先輩ですから、その辺を振りかざしながら仲良くねやっていきたいなぁーと思いますけど(笑)」。  

―――河原さんの印象は?

 
三田 「河原さんとは、初日の時には会えなかったんですけど、後日そういう場を作っていただいて会ったんです。とってもふんわりな印象で、あんなに鋭い演出がどこからでてくるんだろうというような。まぁみんな爪を隠してますよ(笑)。お会いした時には、みんな、あらって思うくらい何気ない人たちなんですけどね。楽しみです。『三田さん何ができますか?』『歌は何が好きですか?』とかね、『踊りはやりますか?』とかいろいろ聞かれたので、いやぁーほとんどだめですって言っておいたんですけど。どうなることやら。まずは宮藤さんの脚本がね。この間も池田さんに『いやーわかりませんよ、三田さん。どんな脚本がでてくるか』って、ちょっと脅かされたんです。ですから楽しみなんだけど、怖い~。ついて行けるかなっていうのが今の心境です。でもついていかなきゃね」。  

―――新聞報道では河原さんの演出に対して、「今回、血の海を渡る覚悟でいます」とおっしゃっていますが・・・。

 
三田 「まあね(笑)。今風に言えば私は、選手に蹴飛ばされるサッカーボールの心境です。どうやってぶわーってゴールにいくのか、向こうにいっちゃうのか、どうなるか分からない球が私です。ふふっ」。  

―――最後に意気込みを伺いたいのですが…。

 
三田 「とにかく、もう飛び込んじゃったわけですから、『三田さんよかったね』『いやー三田さんもまだまだ、先は10年くらいはあるね』って言われるくらいにいろんなことを身につけて、お客さんに驚いてもらったり、喜んでいただきたいなと思います。感動は与えられるかどうかわからないですけど(笑)。ただこの(作品の)世界(観)で感動を与えられれるところに向かっていきたいなと思っています」。  

※インタビューは公演が開始前に収録

三田佳子プロフィール