「石」がつなぐ不思議な旅へ。日本一の石ころタウン・糸魚川市で「石のまち糸魚川」プロジェクトがスタート

日本一の石ころタウン・糸魚川でスタート「石のまち糸魚川」

今年7月、新潟県糸魚川市でユニークな取り組みがスタートしました。その名も「石のまち糸魚川」。全国的にも貴重な地質資源とそれらが形づくるダイナミックな自然景観を有し、日本の国石・ヒスイの日本随一の産地でもある糸魚川市が、その「石」をテーマに市のさまざまな魅力を伝えるというプロジェクトです。

その「石のまち」プロジェクトにおいて、石にまつわるさまざまな体験ができる「石のまちツアー」が展開されています。“ヒスイの交流都市”の異名をとる糸魚川市が手掛ける「石のまちツアー」。なんだかとっても興味をそそられる! ということで今回は、「石のまちツアー(日帰りプラン)」の行程をなぞりながら、現地の様子をレポートをしてみたいと思います。

新潟県糸魚川市ってどんなところ?

糸魚川市は新潟最西端にある人口約4万人の市です。日本列島が誕生した際に形成された大地の裂け目「フォッサマグナ」の西縁にして日本を東西に分ける境界線「糸魚川-静岡構造線」の上に位置し、岩石の種類が豊富なことで知られています。

中でも特筆すべきは「ヒスイ」。質・量ともに日本有数と言われる糸魚川のヒスイは、その加工品が紀元前5,000年頃(縄文時代中期)から日本各地に流通していたことがわかっており、文化的価値の面においても、糸魚川随一の名産品なのです。

旅のはじまりは石ひろいのメッカ「ヒスイ海岸」

石のまちツアー最初のイベントはズバリ「石ひろい」です。 到着したのは「ヒスイ海岸」の愛称で親しまれる糸魚川海岸。「糸魚川で石(ヒスイ)ひろいをするならまずはここ!」と言われるほどの定番スポットなんです。

波はやや高いものの、天気は文句なしの快晴! 到着した9時半頃には石ひろいに訪れた方々で大賑わいでした。さっそく海岸を歩きながら石を見て回りましょう! (ぜひヒスイを見つけたい!)

海岸に足を踏み入れてまず驚いたのは、海岸が砂浜ではなく砂利・小石で形成されていること。そして、それらの色や形状の多様なこと! 青、緑、白、赤、黒、橙、茶……。スポンジのように無数の穴が開いたもの、大きな亀裂の走ったもの、いくつかの層が重なってできたもの……。糸魚川の海岸で見られる石の種類の豊富さは日本一とも言われるんだそうで、なるほど、個性のない石を見つけるほうが大変なくらいで、まったく飽きません(笑)。

時々しゃがんでは素手で石をかき分け、またしばらく歩きます。踏みしめるごとに足元でカラカラと鳴る音も気持ち良い。

ついつい夢中になって歩き回ること30分4つの個性的な石と“おまけ”の小さな貝殻をひろうことができました! 残念ながらヒスイらしき石は見つけられませんでしたが、ひさしぶりに童心に帰れる貴重な時間でした(笑)。

ひろった石の鑑定もできる「フォッサマグナミュージアム」

ヒスイ海岸を後にして向かったのはツアー2つめのスポット「フォッサマグナミュージアム」。言わずと知れた糸魚川観光の定番スポットです。冒頭でも触れましたが、「フォッサマグナ」とは、中部地方から関東地方にかけての地域を縦断するU字型の巨大な溝に新しい地層が溜まった地域のことで、「日本列島が誕生した際に形成された大地の裂け目」と表現されることも。このフォッサマグナミュージアムでは、地球誕生からフォッサマグナが形成されるまでの過程を学べるほか、糸魚川産ヒスイをはじめとするさまざまな鉱物や岩石・化石などの貴重な地質遺産を展示しています。

フォッサマグナミュージアムでは「石の鑑定サービス」が行われており、ひろった石を持ち込めば、学芸員さんがその種類を無料で鑑定してくれるのです(※持ち込みのルールは公式サイトを参照のこと)。取材時間の関係で私は鑑定を受けることはできませんでしたが(残念すぎる!)、ひろった石の名前特徴珍しさの度合いなども教えてくれるので、石ひろいをした後はぜひ持ち込んでみてくださいね。

昼食は老舗料亭「日本料理鶴来家」で。

石ひろいが一段落したら、お昼ごはんの時間です! ツアー3つ目のスポットは糸魚川市大町に店を構える老舗料亭鶴来家(つるきや)」です。創業は江戸末期、214年の歴史を持つ老舗中の老舗で、明治11年には北陸巡幸で糸魚川を訪れた明治天皇に献立を立てた記録も。最近では観光列車「えちごトキめきリゾート雪月花」の和食弁当制作も担当しており、そのクオリティは折り紙付き。頂くのは鶴来家自慢の御膳です。地元・糸魚川の食材を中心に作られる純日本料理の繊細な味を堪能しましょう。(写真の献立はイメージです。)

日本随一のヒスイの産地「小滝川ヒスイ峡」

おいしい昼食を頂いたら、4つ目のスポット「小滝川(こたきがわ)ヒスイ峡」へ向かいましょう。昭和31年に国の天然記念物に指定された小滝川ヒスイ峡は、姫川の支流にあたる小滝川に明星山(みょうじょうさん)の大岩壁が落ち込んで出来た川原一帯のことで、糸魚川市内の海岸に打ち上げられるヒスイはこの小滝川ヒスイ峡から流れてくるんだそうです。まさに「ヒスイのふるさと」とも呼べるスポット。河原に下りる前に山道を少し上り、ヒスイ峡展望台に足を運んでみましょう。

こちらが小滝川ヒスイ峡に沿ってそびえ立つ明星山(南壁)。小滝川からの高さは450メートルほぼ垂直に切り立った大迫力の岩肌は見つめているだけで圧倒されてしまいます……!明星山は日本有数のロッククライミングスポットとしても有名なんだそうで、晴れた日には岩壁をよじ登るクライマーの姿を確認することもできるそう。(そんなのハラハラして見ていられない!)

展望台から身を乗り出してみると……おっ! 小滝川ヒスイ峡が見えました! さっそく下りてみましょう!

明星山の展望台から車で5分ほど下り、小滝川ヒスイ峡に到着! サラサラ流れる小川のせせらぎが心地良い。ヒスイ海岸とは違い、角の取れていない大小さまざまの岩石がゴロゴロしています。なんでも小滝川ヒスイ峡で採取されるヒスイは、約3億5千万年前以前に海洋プレートの沈み込みによって形成されたのだそうで、それを紀元前5,000年頃の日本人が装飾品や祭祀の道具に使い、以来、日本人にとって特別な鉱物であり続けています。古代日本を彩ったヒスイがこの場所から次々と産出され、日本や海外に広がっていったのだと思うとなんだか感慨深いですよね。

ここ、小滝川ヒスイ峡は国の天然記念物に指定されています。ヒスイや動植物を採取・捕獲することは違法行為に当たりますので持ち帰るのは絶対にやめましょう。マイナスイオンもたっぷり浴びたところで(笑)、次の目的地へ!

ヒスイ色に輝く神秘の池「高浪(たかなみ)の池」

5つ目のスポットは小滝川ヒスイ峡のほど近くにある「高浪(たかなみ)の池」です。標高540mの白馬山麓国民休養地内にあり、一年中豊かに水をたたえています。

池の色はヒスイを思わせる美しいエメラルドグリーン。静かに揺れる水面を見ていると、なんだか心が癒されます。池をぐるりと囲む遊歩道に出てみましょう。

この日は30度を超える気温でしたが、林の中に作られた遊歩道はひんやりとしていてすこぶる歩きやすい! 枝の間からは常に池を見通すことができるのですが、ポイントごとに池の表情が変わって、これがおもしろい。 飽きることなく散策を楽しむことができました!

なお、高浪の池では古くから巨大魚の目撃が相次いでおり、地元では「浪太郎(なみたろう)」、「翠(みどり)」の愛称で親しまれているんだとか。池の前庭にはそんな浪太郎のオブジェもあるんです。訪れた際には、ぜひ記念撮影を。

こだわりの手作りスイーツを提供「フェルエッグ」

石のまちツアー(日帰りプラン)を締めくくる最後のスポットは洋菓子店「フェルエッグ」。自営養鶏場の卵の味を生かしてシンプルに仕上げたプリンシフォンケーキロールケーキが人気のお店です。

こちらのお店では、地元・糸魚川で育ったヨモギを使った、ヨモギスイーツが味わえるのです。生地にヨモギを練り込んだフワフワ食感のシフォンケーキに、佐渡産米粉にヨモギを練り込んだグルテンフリーのショートブレッド。ヒスイの色を思わせるような鮮やかなグリーンのヨモギスイーツをぜひおみやげにどうぞ。

取材を終えて

よく「価値が無いもの」の代名詞にされてしまう石ころですが、糸魚川で出会った石ころはただの石ころにあらず。なんだか不思議な雰囲気を持っていて、特別なパワーを感じさせる石ころでした。そう感じたのは、ただ単に石の姿かたちが珍しいというだけでなく、そこに気の遠くなるような長い年月を超えて届く地球の息吹・歴史の息吹を感じることができたから。知るほどに深い、「石」がつなぐ不思議な旅。ぜひ皆さんも参加してみてくださいね。

※「石のまちツアー」の概要は以下をチェックください。

あなただけの石を探しに 石のまちツアー

※画像クリックでサイトにジャンプします。

糸魚川で、石をたどる不思議な旅へ。ヒスイをめぐる奴奈川姫の伝説や、地球の歴史が生み出したジオパーク。その地質が織りなす文化、そして豊かな食や温泉。糸魚川の壮大な自然の恵みをぜひお楽しみください。

・ 日帰りツアースケジュール …… 9/28(土)、10/5(土)、10/19(土)、10/26(土)
・ 1泊2日ツアースケジュール …… 9/22(日)・23(月)、10/5(土)・6(日)、10/19(土)・20(日)、10/26(土)・27(日)

ツアーの申し込みはこちらから → あなただけの石を探しに 石のまちツアー

取材・文・撮影:Komachi Web編集部 和田圭太

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